構造主義の歴史上・下、入荷いたしました。
左:構造主義の歴史上 記号の沃野 1945~1966 フランソワ・ドッス 清水正・佐山一訳
右:構造主義の歴史下 白鳥の歌 1967~1992 フランソワ・ドッス 清水正・佐山一訳
・構造主義の歴史上・下 フランソワ・ドッス 清水正・佐山一訳
19世紀以降、西欧は冷たい時間性へと徐々に移行しつつあり、構造主義的パラダイスの勝利は、何よりもこうした特異な歴史状況の結果にほかならない。しかし当時、飛躍的発展をとげつつあった社会諸科学が、それまで学問上の正統性を一手に専有し、古典的人文学の普及につとめていた旧いソルボンヌの権威に、まっこうから戦いを挑んだ点も忘れてはならない。構造論的パラダイムは、当時、規範的制度の周辺に追いやられていた知の全体を、日にあたる場所に引き出す効果もった。西欧形而上学の脱構築を目指して、記号学の基盤そのものに亀裂をはしらせ、あらゆるシニフィエ、あらゆる意味を締め出して、〈純粋なししシニフィアン〉をいっそう循環させること。このような批判のあり方は、西欧の歴史における自己嫌悪の一時期に属している。この時代になされた発見のいくつかは、いまや人間の認識において無視することのできない知見の一部をなしている。