物のまなざし ファン・ゴッホ論
ひと時の休息も停止もなく、絶えず自分自身の外部に投げ出され、内面を構成するいっさいのものから閉め出された生。
思索を深めることの不可能性、自らの内に閉じこもり、自分の内部にむかって身をかがめていくことの不可能性に苦悩する生。
ファン・ゴッホがどれほどまでいっさいの社会の外部に放り出されていたか、因習が低俗きわまりない要求や庇護、確信を押しつける世の中からいかに拒絶されていたか。
1882年11月のゴッホの手紙より、ハーグの芸術界が彼を排除しつづけたあげくに、すべての人から見離されたことがわかる。
ゴッホの芸術がいかにとてつもない孤独に依存したものであったか。
物の世界の風景に自らの目と耳を傾けながら、そこに身体ごと吸収されていった画家。
物のまなざし ファン・ゴッホ論
ジャン=クレ・マルタン/著 杉村昌昭・村澤真保呂/訳
2001年 大村書店/発行
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