空海大字林が入荷致しました。
空海大字林 本巻+解説の一函2冊入が入荷しました。
1983年刊行 講談社
書家にして書道史研究家であられた駒井鵞静氏は『弘法大師書蹟大成』にて凡そ230字を活字化し、空海の字体研究の先人となったとか。
それを引き継ぐように、空海の字体研究を続ける飯島氏の此度の著は大「辞」林ならぬ空海の大『字』林。
空海が認めたと言われる書に連なる文字が集められています。本人が書いた・書いたと言い伝えられている書の量はあまりにも多く。最早本巻の中身は空海の漢字辞典とも見え、文字通り、空海の字の林が出来上がっています。
更に恐るべきことは、本巻巻末にある索引が画数・音訓という充実っぷり。
これには編者を知らずとも、その内容振りから編者の並々ならぬ研究熱を漢字ぜざるを得ないのではないでしょうか。
別冊の解説本では、言い伝えられてきている空海の書そ飯島氏自らの観点から空海の在り方を論じ、空海の筆跡を他の書の同字の筆跡と照らし合わせながら順次に解説していて、まるで編者と共にパズルを解いていくかのようにページを捲る手は、ゆっくりながらも止まらない。
更に更に。
氏曰く、空海の軌跡を辿ると、書を認めていない空白の7年間が存在しているとのこと。
何時の日か、空白の7年間が露わになれば、今在る空海の姿もまた変わって見えることでしょう。その日を、本著を読みながら待つのもひとつの楽しみやもしれません。