韓国金銅仏研究を入荷致しました。
韓国金銅仏研究ー古代朝鮮金銅仏の系譜ー 外箱欠・函付きを入荷いたしました。
1985年刊行 松原三郎著 吉川弘文館
本書は美術史家で中国仏教彫刻史研究の大家である著者による中国や日本との比較におかれた古代朝鮮の仏教彫刻研究です。古代朝鮮の高句麗、百済、新羅の三国時代から統一新羅時代までの研究論文を基軸として、補足的に高麗時代の論文を収めた内容となっております。図版は可能な限り年代順の配列となり、視覚的に変遷を追うことが容易に考慮されております。
古代朝鮮の金銅仏でもっとも特徴的ともいえることは、その大きさが7～8センチから30～40センチほどの「小金銅仏」であるということです。小さいことでどのような意義が生まれていたのかといいますと、中国では貴族と庶民の間の階級の対立関係を通して金銅仏生産が進展していったのに対し、古代朝鮮では「小金銅仏」という形態から護符化し、庶民の念持仏として身近に信仰されるようになりました。そのことによって庶民に土着化していったのです。
本書の大半が図版で構成されておりますので、庶民に大切にされた「小金銅仏」が非常に穏やかな表情をしていることをうかがい知ることができる優れた書物だと思います。
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