摂大乗論 上下巻 インド古典叢書の入荷です
1993年 長尾雅人 講談社
『摂大乗論』は瑜伽行唯識学派に属する論書で、その名”大乗を該摂するの論”が示すように、一つの体系的な大乗概論である。しかし、小乗から区別さてれ大乗だけが説かれているというのではく、そこには原始仏教以来の教理や思想も多く引用されて、アビダルマ(阿毘達磨)的な議論も縦横に駆使さてれいて、全仏教が総合されている。その意味で、全仏教の帰結がそこに見られ、全仏教の大乗の立場からの概論である。…『摂大乗論』はこのような論書の随一である。ー本文「序説」よりー
著者の40年余にわたる研究の成果は日本における新しい仏教学研究の第一歩を劃するものである。散佚した原初サンスクリットテクストのあるべき様を模索、チベット訳・諸漢訳を対照・検討し、総合的な視点での訳出が試みられている。本書は仏教を学ぶ人々の必読書となるでしょう。