前田愛著作集を入荷いたしました。
1989年 筑摩書房
前田愛(1931~1987)。日本文学研究者。為永春水研究に着手した東京大学時代から近世から近代へと移行する文学を読者の連続性によって考察するという意識をもった。それは『幕末・維新期の文学』でまとめられ、また読書の形態や読者層などを考察した『近代読者の成立』、それら独創的な文学研究を残している。
また樋口一葉研究にも着手し、その関心は晩年まで続いた。一葉研究で培った方法は『都市空間のなかの文学』に昇華され、文学研究だけではなく歴史学や社会学へと開かれ、時代の文脈を掘り起こしていった。遺作は『文学テクスト入門』であった。
ほかの著作に『成島柳北』(1976)、『鎖国世界の映像』(1976)、『幻景の明治』(1978)、『近代日本の文学空間』(1983)などがある。