「増訂 中国仏教彫刻史研究」を入荷いたしました。
1966年刊 松原三郎著 吉川弘文館
本書は中国の金銅仏と石仏の様式の変遷を「様式の地域性と時代造像との連関」と「金銅仏と石仏の相互交渉とその系統づけ」の二つの立場に貫いて、北魏から五代までを研究した論文です。図録されている彫刻仏のなかには、外国へ売却されてしまったものもあり、収集は著者の1000点以上もの調査のなかの苦労の一つであったと述懐しています。著者の研究の特徴は年月や供養者の名前、出身地などが銘文に記されることの多い単体の石仏や金銅仏を扱ったところにあり、元来の石窟寺院中心の視点から中国仏教彫刻を発展させたところにあります。また銘文を徹底して研究を反復させ、内容の真偽を解いた方法は高い評価を得てます。中国の仏教彫刻を根幹として、朝鮮半島の石仏や金銅仏、その日本への関係などと研究を広げていきました。