在庫書籍紹介「鳥獣人物戯画 SCROLL OF FROLICKING ANIMALS AND HUMANS CHOJU JINBUTSUGIGA」
鳥獣人物戯画 SCROLL OF FROLICKING ANIMALS AND HUMANS CHOJU JINBUTSUGIGA
辻惟雄 小学館 2007年
国宝「鳥獣人物戯画」。歴史や美術に興味のない人でも、一度ならず耳にしたことがあるでしょう。マンガやアニメ等のサブカルチャーコンテンツにもサンプリングされていたり、ファッションやインテリアなどのブランドがモチーフとしてアイテムを製作していたりと、国宝の中でも特に目に馴染みがあるものではないでしょうか。
改めてどんなものかというと、12-13世紀、平安時代から鎌倉時代にかけての期間、複数の作者の手によって描かれた戯画作品がまとめられた紙本墨画の絵巻物。
当時の世相を反映して動物や人物を戯画的に描いているのが特徴で、様々な作者たちが別個の作品として描いたものが真言宗の寺院である京都の高山寺に伝来し、そこでひとつにまとめられたのではないかとされています。
甲乙丙丁の4巻から成り、巻によってやや内容が異なります。甲巻では動物たちが水遊びや相撲、喧嘩や法要を行う様子が描かれ、当時の人間生活の様子を動物によって表現しています。乙巻では実在する生き物のほか架空の生物も登場し、図鑑としての役割の強い巻。丁巻では人間が描かれ、宮中行事などの様子を見ることができます。
あまりにも古い為、且つ継ぎはぎや補修を繰り返している為、完全体(というものがあったとしたら)で残っているわけではありません。「鳥獣人物戯画であったであろう破片」や、原本では失われている部分を書き写してあるものが、世界各地の美術館・博物館に残されています。
この書籍は、そんな「鳥獣人物戯画」を可能な限り再現し、全て読めるようにした1冊。甲巻・乙巻は原寸大の経折本仕立で再現されており、丙・丁巻も全容を掲載されています。
編集は美術史学者の辻惟雄。日本美術史の研究における功績で、文化功労者に選出、瑞宝重光章も受章しています。
「国宝」をぜひお手元に。