在庫書籍紹介:天台布教叢書
平成新修 天台布教叢書
大正大学・天台学研究室編 USS出版 2012年
隋の時代、中国浙江省天台県で天台大師智顗が開いた仏教の宗派、天台宗。平安時代に最澄が唐より持ち帰って日本に広めました。
最澄が開祖だと捉えられる文献もありますが、基となる教えを開き弟子を養成したのが智顗。のちに「天台大師」と諡されており、高祖にあたります。
日本で比叡山を開き、教えを広く広めた最澄は「伝教大師」とされています。最澄は天台教学に加え、教えが共通する「密・禅・戒」の三宗も日本に広め、これによって天台宗は総合仏教として確立されたことになります。
法然・親鸞・日蓮など各宗派の宗祖たちも天台宗を学んだことから、仏教の母山とも呼ばれています。
天台宗では、「全ての人は皆、仏の子供」という「悉有仏性」の思想に基づいており、万民すべてが仏になることができるという「法華一乗の教え」を説いています。これは身分に関係なく、死後は皆ひとつの乗り物で仏の世界へ導かれる、ということを表しています。
天台宗宗憲には「天台宗は宗祖大師立教開示の本義に基づいて、円教、密教、禅法、戒法、念仏等いずれも法華一乗の教意をもって融合しこれを実践する」とあり、さまざまな教えを融合している点も、天台宗の特徴のひとつです。
これによりご本尊も寺院によりさまざまなのが特徴で、釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来などが祀られています。
固く決まった決まり事が多いというよりは、のびのびと信仰心を育てる面が強いと言えるでしょう。