林基『松波勘十郎捜索』を入荷しました!!
2007年 平凡社
林基(1914~2010年)。日本の歴史学者。日本近世史のなかでも百姓一揆の研究で知られる。石母田正や松本新八郎、藤間生大らと共に民主主義科学者協会歴史部会を組織し、国民的歴史学運動のイデオローグとして機関誌『歴史評論』の編集長も務めた。『百姓一揆の伝統』『国民の歴史16 享保と寛政』『近世民衆史の史料学』などがある。
林史学の集大成ともいえる本書『松波勘十郎捜索』は20年以上『茨城県史研究』に連載された論文を集成したもので、新史料や発見、再検討が行われ多くの研究者の協力のもとに近世史の新たな問題領域を拓いた伝説的な論文群です。
ちなみに松波勘十郎とは江戸時代の財政家で、美濃の幕府領検地や大多喜藩や郡山藩、三次藩の諸藩や旗本らの藩政改革を指導した人物です。宝永3年に運河事業などへあたっていたが、民衆の一揆が起こり追放され、捕らえられたのち水戸で獄死した。
農民一揆研究を担ってきた林史学が支配者の側の歴史隠ぺいを突き破ってゆくドキュメントは読む者を興奮させること間違いないでしょう。