『胡適 1891-1962 中国革命の中のリベラリズム』を入荷いたしました。
2018年 ジェームズ・B・グリーダー著 佐藤公彦 訳 藤原書店
胡適(1891~1962)は中国の文学者、思想家、教育行政家です。アメリカへ留学し、デューイのプラグマティズムに学び、西洋口語文化の影響から中国も言文一致であることを「文学改良芻議」『新青年』で主張したことで文人階級へ衝撃をあたえました。中国共産党初代書記長を務めることになる陳独秀が呼応して「文学革命論」を発表し、「文学革命」運動が伝統的な文学館に対して巻き起こっていきました。帰国後は北京大学へ入り、マルクス主義と対立して『努力週報』などを創刊した。プラグマティズムからは古典研究を提唱し、一方で西洋化実現のために蒋介石政権へ接近し駐米大使として対日戦争へ助力しました。著書に「白話文学史」「中国哲学史大綱」などがある。
著者ジェローム・B・グリーダーはかれのプラグマティズム的な貢献を評価するわけではないといいます。本書の目的は胡適が世界のなかの中国の位置について同時代の意見をいかにして創り出そうとしたのか、という方法を見極めることにあり、1920~30年代に中国人たちに立ちはだかった社会的、政治的、思想的な問題への胡適の考えの経歴を理解することだと語ります。
今なおリベラリストへ強い影響を与える胡適の決定的な評伝を手掛かりに現在を読んでみることも一つの手がかりかもしれません。