『メイエルホリド ベストセレクション』(作品社)を入荷いたしました。
2001年 岩田貴 ほか訳 作品社
メイエルホリド(1874-1940)はソ連邦の俳優、演出家です。チェーホフやゴーゴリらの戯曲を世に送り出し、西洋近代演劇を進めたネミロビチ・ダンチェンコの指導を受けたあと、モスクワ芸術座へ入りスタニスラフスキーの弟子となりました。モスクワ芸術座を去ったあとは地方で劇団を結成し、シンボリズム演劇を評価されコミサルジェフスカヤ劇団に招かれる。また帝室劇場演出家も務め、モリエールの《ドン・ジュアン》やレールモントフの《仮面舞踏会》などを上演しました。コメディア・デラルテ、能や歌舞伎を原点とする演劇論を展開した。
十月革命後は共産党へ入党し、革命にこたえる民衆劇を目指しマヤコーフスキーの≪ミステリア・ブッフ≫やクロムランクの≪堂々たるコキュ≫などサーカスや見世物小屋の手法を取り入れ上演した。エルドマンの≪委任状≫を上演したあたりから賛否が問われはじめ、社会主義リアリズムに支配された時代にはそぐわなく、敵視される。劇団の閉鎖のあと逮捕、粛清された。
ロシア・アヴァンギャルド運動の中心的人物であり、20世紀演劇の新たな道を開いたメイエルホリドの軌跡をこの一冊に読むこと間違いありません。