『律令 日本思想大系』(岩波書店)を入荷いたしました。
1990年 井上光貞 ほか 岩波書店
律が刑法、令が行政法などに相当する東アジア古代国家の法典「律令」は中国秦・漢、南北朝期に出現し、隋・唐で発達しました。唐以前のものは喪失してしまいましたが、唐律は唐律疏議。令は唐令拾遺が復元されています。
日本でも唐代のものに習い、7世紀後半から8世紀前半に近江・飛鳥浄御原・大宝・養老の律令が制定されました。養老令約1000条は令義解や令集解として残り、律の500条は一部が残存しており、現在でも確認することができます。
本書は岩波書店・日本思想大系のなかの一書になります。古代の政治や社会にとどまらずその後の日本の歴史へ法意識を刻印した日本の律令の本格的な注釈書です。「養老律令」の訓読文へ詳釈と解説が加えられ、近寄りがたい印象の強い律令へ確かな手ごたえをあたえてくれます。本書を抜きにして日本の国家史をかんがえることはできないといっても過言ではないでしょう。