鳴海邦匡『近世日本の地図と測量 村と「廻り検地」』(九州大学出版会)を入荷いたしました。
2007年 鳴海邦匡 九州大学出版会
本書は17世紀から19世紀までの日本で測量に基づき制作された村の地図を検討したもので、地方で作製された手書きの地図を対象としています。大阪府と兵庫県にまたがる北摂地域の山論絵図が中心的に扱われ、これまでの地図研究の中心は刊行図が比重を占め、手書きの地図は大量に存在しているにも関わらずあまり研究が進められてこなかったといいます。手書きの地図は様々な場面に出くわしながらその解決を目的としてつくられたため、刊行図以上に当時を知る貴重な資料です。
近代以前の地図へも注目し、地域の資料から実践された測量と地図の実態を明らかにしてゆく本書を通じて地域資料としての近代以前の学術的な位置づけをかんがえ、新たな地図の見方に出会えることでしょう。
鳴海邦匡の著作はほかに『地図のなかの柳川』『地図からの発想』などがある。