西洋古典叢書『初期ストア派断片集』(京都大学学術出版会)を入荷いたしました。
2000年 中川純男 訳
ストア派はヘレニズム哲学の一派であり、紀元前3世紀初め古代ギリシアのゼノンによってはじめられました。降りかかってくる運命をどのように克服してゆくかを考えた哲学です。くわしくは、キティオンのゼノンがストア・ポイキレとい彩飾柱廊で哲学を説き名声をひろげ、アテナイのアゴラという中央広場をみはらすコロネードのような公共的な場で哲学を説くことをしたようです。
ゼノンの思想はソクラテスの弟子アンティステネスからはじまるキュニコス学派の思想へ展開し、ゼノンの弟子クリュシッポスが今日ストア主義とよばれているものへ成型してゆきました。
本書は西洋古典叢書の『初期ストア派断片集』です。初期ストア派哲学者の生涯と思想についての資料集となっており、アルニムに従い、Ⅰゼノン及びクレアンテスをはじめとした弟子たちについて、Ⅱクリュシッポスの論理学と自然学関係、Ⅲクリュシッポスの倫理学関係や彼の弟子について、それぞれ証言と断片が収められております。
哲学の歴史の基礎ともいえるストア派の起源をつかむ圧巻の書物です。