『市民と礼儀 初期近代イギリス社会史』(牧歌舎)を入荷いたしました。
2008年 ピーター・バーク ほか編 木邨和彦 訳
サー・キース・トマスのオックスフォード大学コーパス・クリスティ・カレッジ学寮長の退官記念に謹呈された本エッセイ集は、かれの近世イギリス史研究によって幅広く光をあてられたなかのテーマのひとつである「礼儀」にかんするものです。「礼儀」civilityは初期近代のイングランドから使われさまざまな意味を含んでおりました。そして19世紀の初頭に「市民の」civicの衰退とともに急激な変化がもたらされたといいます。現在、地方的に定義されたうわべだけの「礼儀」のようですが、本エッセイ集では初期近代の礼儀の幅広い潜在的重要性とその意味の変遷を探求しています。
前書きでエッセイを寄せている学者たちが、「キース・トマスが誤りを捜しながら、肩越しにのぞきこんでいると思いながら執筆したと書いているところはキース・トマスの人柄が感じられ微笑ましいです。エッセイとはいえ硬質な歴史学の書物をぜひお手に取ってみてください。