『齋藤磯雄著作集 第Ⅰ巻』(東京創元社)を入荷いたしました。
平成3年 東京創元社
齋藤磯雄(1912~1985年)は日本の仏文学者です。
小さいころから漢籍や聖書に親しんで育ち、中学生のころに仏文学を志しました。辰野隆を追って法政大学に入りましたが叶わず、豊島与志雄や阿藤伯海に師事します。卒業後はリラダンやボードレールや近代フランス音楽の研究に没頭していました。日夏耿之介らの世話により明治大学の講師となりました。
ボードレールの『悪の華』の訳出やリラダンの『残酷物語』や全集は辰野隆、三島由紀夫らの激賞を受けました。とくに澁澤龍彦は齋藤の仕事に大きな影響をうけたことが知られています。
本著作集第Ⅰ巻には『リラダン』『ボオドレエル研究』『随筆集ピモダン館』を収録し、拾遺iにはポオやボードレールだけではなく日夏耿之介への論考や追想が収められております。高踏派や象徴派などを筆頭に19世紀フランス文学の世界が日本でどのように高められていったのか、齋藤磯雄を大きな足掛かりに把握するのもこの著作集があれば容易いかもしれません。